フラミンゴ 2017-03-30 08:35:20 |
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(彼から漂うこの匂いは煙草のものらしい。よく大人達が吸っていた、その記憶だけはある。こんな所でも大人と子供の差を見せ付けられたようで何だか心許ない気持ちになって。「ふぅん。やっぱディー君も大人やってんなぁ」ボソリ、と呟き、共有出来ぬ寂しさから大袈裟にしょんぼりと肩を落とす。そう言えばポケットに仕舞っていたものがあった筈。ゴソゴソとポケットを漁り、中から白い小袋を取り出す。きゅ、と黄色のリボンで飾られた其れは中に乾燥したハーブや香料を仕込んだ、所謂お手製のサシェ。「これ、ディー君にあげるなぁ。匂い消しにもなるし、ええ匂いやろぉ?僕とお揃い」自分の枕元にも置いてある嗅ぎ慣れた匂いの小袋を、要らないと言われてしまわぬよう彼のポケットへ勝手に仕舞い込んでしまえば、ふにゃりと頬緩め「同じ匂いやねぇ」と満足そうに笑み。レモンの花にローズなどを加えたもので、彼もこの香りが苦手じゃなければよいが。反応を窺うようにじぃーとまん丸に開いた瞳を期待に輝かせながら見詰め。「うん!だってディー君にはダム君っていう家族が居るんやもん。此処では一番適任やと思う」他の皆には兄弟、家族といった陰どころか話も聞いた事がない。其れはきっと薄れゆく記憶とも関係しているのだろうが。双子で唯一無二の存在が傍にいる彼だからこそ良い。力強く頷くことでディーが良い、と伝え。だが真面目な顔をしていられたのもその時まで。ピクニックとの単語にぱちりと開いた瞳の中に星が散り、わーい、と万歳を。「へへ、ディー君とピクニック楽しみやなぁ。今日帰ったらみーんなに自慢しよぉ」ピョンピョンと隣を跳ねるように歩き、案内されるままに彼の自宅へ。見えたベンチに小走りに駆け寄っては我先にと腰を下ろし相手を呼ぶように隣を手の平で叩いては「ディー君、はよぉおいでー!」と声をかけて)
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