フラミンゴ 2017-03-30 08:35:20 |
通報 |
はは、御冗談を。本当に凄いのは貴方の方だ。ご自分の思っている事をちゃんと伝えられるなんて、中々出来ることではありません(揺れ動くステッキの先を眺めながらも、軽やかに動く様がまるで雲のように掴めず隣の彼のようで。カラリと晴れた日の様な笑みを浮かべながら、しっかりとマイナスなイメージを与える言葉であっても伝える所は伝える。其れはしようと思っても易々と実践出来ることではなく、大層な勇気と度胸がいる事だ。尊敬の念を込めた瞳で彼を見つめ。その際にふと目に付いたのは先程からチラチラと視界を賑わすステッキ。「良いステッキですね。意匠が素晴らしい。大人な貴方だからこそよく似合う」洒落たステッキを持つ大人な男性であるが故か、ふとした瞬間に見え隠れする老獪ぶりに興味は惹かれるばかり。じーと不躾にならぬ程度に視線を注いでは「何だか不思議な方ですね、目が離せない」クスクスと笑い混じりにそんな口説き文句を落として。「では、貴方のことはジャバウォッキーと。私の名に関してですが、貴方や他の方に役柄があるように、私もアリスという役柄でそれが名前なのだと思っていました。此処では本来の名を告げる事はタブーなのかと。貴方も他の方々も会う方は皆、本名とはほど遠い役名でしたので」近付く距離に己からもそっと近寄り、彼の吐息が頬に掛かりそうな距離まで詰めては耳をすませ。その距離感に他意はなく、ただただパーソナルスペースが狭いだけで。ひそり、と秘密めいた声のトーンと伝えられた内容に僅かばかり首を傾げては、特に己の名に執着がないのか、そんな疑問を口に。元々仕事柄色々な人物の役をする事はもちろん、芸名で呼ばれたりと、刹那刹那別人になりきり生きてきた己にとって本名と言われたところで、その大切さはあまりピンとこない。其れに本名より彼に愛着を持って呼ばれる名の方が今の自分にとっては価値のあるもののように思えてならない。博愛主義を通り越して歪に捻じ曲がった考え方は、きっと何処か常軌を逸しているのだろう。ひっそりと潜む狂気は、この柔らかな雰囲気に紛れて隠れてしまい現在まで他者が気付くことはなく、自身も無意識下のもので。「ふふ、ジャバウォッキーさんは笑い方が可愛らしいですね。まるで小さな少年の様だ」歳上の相手にこんな事を告げては勘に触る相手もいるだろう、だが目の前で披露された悪戯めかした笑みが何度も愛らしく、ただ純粋な思いで感想を述べ。きっと冗談を交えながらも会話をうまく運んでくれる相手のこと、カラリと笑って受け流してくれる包容力があろうと思っての言で)
トピック検索 |