フラミンゴ 2017-03-30 08:35:20 |
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(胸倉を引き寄せられれば自然と距離は詰められて、喉元を圧迫するような感覚が一瞬にして空気を変えた彼の雰囲気に合わさり落ち着きを持つ正常な判断から引き離して行く、目の前で餌をちらつかされて堪える事の出来る程お利巧ではないのだから、一度持った興味はそう簡単に熱を覚まさないのだ。そんな熱の余韻だけを燻ぶらせるように残し、先ほどと変わらないふわふわとした雰囲気に戻る一連の流れに堪らず息を飲み、一度だけ長く息を吸い込むとその酸素を肺まで確りと落とし長くフーと吐き出して「悪魔が何かを誘惑するんじゃなくて、何かが悪魔を誘惑する。――西洋の誰かがそう言ったけど、強ち間違いじゃない。俺は今、秘密に焦がれ誘惑を受けてる」彼に撫でられた髪型を戻すように手櫛を通せば、以前この国切っての博識家である芋虫に教えられた悪魔に準えた格言の一つを思い出し"くすり、"と小さく息を潜めた笑みを零しながらつぶやいて。勝ちたいと勝利に寄せた思いが出過ぎたのが敗因だったのか、欲に溺れてしまった結果に出た目は万が一の奇跡でも起きなければ勝つ事の出来ない数字。表情に浮かべる余裕綽々と言った笑みこそ絶やさないが、それでも何度か勿体ぶられたダイスが宙を舞う際に目元が強張りツラツラと口を付く言葉が思わず途絶え、紛れも無く動揺していると言う表れで。転がる前に賭け品の変更を向けられるも、己にとっておいしい変更であれば余計な茶々は入れず、案の定彼のダイスが示す数字は己の物より大きかった。わざとらしく肩を竦ませれば「今度は俺の負け、__どう転ぶかが分からないからゲームは面白い。」パチパチ、数回の拍手を行って先ほどしまった賭け金を取り出し彼へと差し出し。先ほど見せられた懐中時計は名残惜しいが、幸運にも彼とのデート権利を手に入れたのだから飲み込もう。「俺はいつだって此処にいる、アリスの都合に合わせていつでも付き合うと約束するよ」今すぐに物として渡すことのできないもう一つの権利についてを応えるべく約束と言うよりも契約と言った口振りの方うが正しいか、片手を差し出せばその言葉をより鮮明にするための握手を促して)
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