フラミンゴ 2017-03-30 08:35:20 |
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(苦虫を噛み潰したように苦々しく告げる彼、果たしてそうだろうか?と緩く首を傾げて。胸の前で両腕を組み、視線を空へ投げては「まァ、それもあるかもやけど。ここだけの話、あんなに懐くなん思わんかってん。ホンマの意味で彼奴らが大人に懐くなんレアやでェ」二人共が人懐っこいように見えて、本当は一人は重度な大人嫌いで、もう一人は早熟すぎた故に達観している。ここに来て優しくて温かな住人に触れる事で其れもなりを潜め緩和されているように感じる。その最もたる要因の一つは目の前の彼の存在が大きいだろう。「何だかんだで、ふーちゃんって優しいし。捻くれてるように見えて純粋やし。一緒におって安心できる大人なんやろなァ」彼だからこそ明かす秘密の話、ガヤガヤと賑わう周りには聞こえぬように、耳元に小声で語りかける。きっとフラミンゴにこんな事を伝えた、と知れては怒られる事間違いない。立てた人差し指を口元に当て"秘密やで?"と緩く口角を持ち上げる。観覧車が見えてくるとその高さに"おおー"と感嘆を示しつつ見上げ、続くハートの飾りに関する説明には興味を引かれて。鮮やかに咲き誇る花々で模られたハート形のオブジェクト、噂話の類が恋愛関係なのもあって何だが甘ったるい匂いまで漂ってきそうだ。彼の危惧は的中、思わず立ち止まりそうになった足は、手を引っ張られ観覧車内に乗り込んでしまう事で阻止される。未練たらしく数秒窓に張り付きオブジェクトがあった方向に視線をやるも、彼からの魔法の言葉でそれも明後日の方向に。尻尾があれば引き千切れんばかりに振っていただろう、呼ばれるままに彼の隣に大人しく腰を落ち着けて。「占いよりこっちのんがよっぽとええ言う割りには、ぜんぜん俺にそれ見せてくれんかったやん。いけずやなァ」拗ねたような口振りで詰りはするも、仕草は隣の彼の肩に頭を摩りつけ甘えるといった反対のもの。きゅ、と相手の指に指を絡め緩く握る。思えばこちらの世界に来てから怖いぐらいに充実している。「なんや、もうこっち来て結構経つよなァ。最近、最初っからこの国で産まれて生きて来たんちゃうかって錯覚しそうになる」観覧車の窓から見えるこの国、先の見えぬ広大な土地が広がり、未だ見ぬ場所が色々ある事を実感する。此処とは違う所から来たなど、最早違和感を感じぬほど馴染んでしまった今、夢物語のようだ。ぼんやり外を眺めながら、ポソリと胸の内を零して)
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