フラミンゴ 2017-03-30 08:35:20 |
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(否定することなく素直に寂しさを認めたかと思えば、己の提案した申し出に乗りかかった上で否定をする。ノリの良い彼が相手だからこそ、己が告げたその提案にも確りと乗りかかった上で在りもしない冗談に姿を変えてみせるのだから流石と言う外無く。「あのなァ、何度も言うけどヨ。綿菓子ィ――おめぇ俺のこと過大評価しすぎ」双子から嫌われていない事は重々承知、とは言え彼が己に対して抱く感情は他の誰も持っていない。身に余り過ぎる賛辞の言葉は聊かバツの悪い羞恥に変わる。「双子が俺に懐くのは兄貴の恋人だから、__もしお前が恋人じゃ無かったら双子は俺に懐いてくれねぇヨ」額を覆いながらぼやくように告げられたその言葉にケッと肩を竦ませて小さく笑い飛ばし。返事を聞く前に足を進ませてしまったが、彼が嫌がる事無く付いて来てくれれば満更でも無く僅かに口元には笑みを浮かべ。今までならば観覧車を選び向かう住人やアリスを浮かれてんなと見る事はあれど、それを羨ましいとも思ったことは無いし、加えて言うならそうする心理や心境さえも分らなかった。現金な物で、恋人が出来て初めて浮かれる気持ちも、二人きりに成れるあの空間を選ぶのも分ってしまう。「知ってっか。観覧車の前に作られてるハートの飾り。そこに二人で行けば思いが伝わるだとか、進展するだとか。噂話が有んだぜ」見えて来た観覧車の乗り口、その目の前に有る花で作られたハートの飾りを一瞥すれば彼を此処に連れてきたもう一つの理由を説いて。「侯爵夫人に占ってもらうより、綺麗だしよっぽど良いだろ」く、と燻ぶる様に喉を鳴らしてから飾りに向けた目を正面に戻して観覧車へ乗り込んで。乗り込むギリギリにその話題を振ったのは単純に、前以て伝えれば飾りの前から動けなくなるかもしれないと危惧しての事。もっと言うならば、人前だからと我慢した彼への触れ合いも、もういい加減限界なのだと言う堪え性の無い本音で。二人乗り込めば扉を閉じて、ゆっくりと上りだす観覧車の動きを感じつつ「綿菓子ィ」トントン、と己の隣に来るように暗に示して軽く叩いて名を呼んで)
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