フラミンゴ 2017-03-30 08:35:20 |
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(ボソリと零した本音はどうやら彼にまで聞こえてしまっていたらしい。その事に気付けば、失敗したとばかりに顔歪め。追い討ちのように揶揄いの言葉を掛けられては堪ったものじゃない。ガシガシと雑に髪をかきあげ、否定も出来ない言葉に反論のしようもなく、拗ねたように唇を尖らせて。「そら、寂しいのは寂しいやろうけど、んなのこれっぐらいや。其れにオレが寂しがっとったら、ふーちゃんが慰めてくれるんやろォ?」これぐらい、と称す時に親指と人差し指で数センチの間を表し、ついでに甘えるような仕草でうりうりと彼の腕に己の顔を押し付けて。ワクワク、とそんな効果音が聞こえてきそうなほど、いつになく楽しげに話す横顔を眺めつつ、その場面を想像してみてはツボったのか、アハハ!と笑い声あげて。「なん、頑固親父にでもなるつもりか?せやったら、髪も服もちゃんとセットして威厳出さなあかんなァ。俺はその隣で宥め役にでもなろか。"お父さん、少しは落ち着いてくださいな"って言うて妻役やるわ」便乗するように、ノリ良く常より高い声で女声を真似ては、よくドラマなどで見る三文芝居をしてみせて。ただ憂慮すべき点もある。愉快げに笑みの形に上がっていた口元を不意に真面目に引き結んでは、はっ!と何かに思い至ったように、深刻な表情を作って彼を見上げる。「やっぱ、無しや無し!そんなんして、双子が"ふーちゃん、カッコええ!やっぱずっとふーちゃんと居る!"的な展開になったらどうするねん!全部水の泡やわァ」はぁ、と溜め息つき片手で額を覆えば、脳裏を過ぎった不安を述べて。押し返されるように拒否されてしまえば、手の出しようもない。ぶぅ、と頬を膨らませ「最初に抱き寄せてきたん、ふーちゃんの方やん」なんて意地悪く呟いては、ツーンと顎逸らし彼と反対方向に顔を向け。占い部屋前を占拠するうら若き乙女達の列を横目に、確かにあの列に並んでまで見てもらいたいほど熱意はない。問い掛けには首を横に振り、占いは諦める、との意で肩を竦めて。導かれるままに観覧車があるエリアへと足を運ぶ。まさか彼から観覧車などと乙女チックな発現が出るとは驚いた。だがここでそれを伝えるのは得策ではない。折角勇気を出して誘ってくれたのだ、ふふ、と小さく笑っては「俺も観覧車乗りたかってん。以心伝心やなァ。一番上まで行ったら、結構遠くまで見えるやろか」己も観覧車が楽しみであることをそれとなく伝えて)
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