フラミンゴ 2017-03-30 08:35:20 |
通報 |
(物理的にそれ以上の言葉を防がれてしまえば一瞬だけ"もごッ"と口籠るような間抜けた音が零れ落ち、絡まる腕から伝わる体温を感じると言葉にて表に出すことは無くとも仏頂面の口元に緩めるような笑みを隠すようにひっそりと浮かべ。大袈裟な溜息を交えて伝えられた妹の動向に、余り周囲に関心を向けていないと言う事も加わってか直接的に関与していなければそんなやり取りが有る事さえもこうして教えられなければ知る事の無かった話で。幾許か羞恥を覚えてしまう程の微笑ましいやり取りに、物事を達観して考えるまでには大人であるからこそ共に過ごしていた兄弟と離れた生活を始めたのだから己をダシにして二人の事を知りたいのだろうと言う少女の思いを勝手に推理し「馬ァ鹿、本当に知りたいのは俺の事じゃなくてお前らの事だって気づけヨ」肩を竦めながら忙しそうに口を動かす彼へ少し口角を持ち上げれば正解は勿論此処に居ない彼女しか知り得ないが、無意識の内に自信が有るそんな口振りのまま告げて。言いたいだけ言い切って席を外した羊に対して訂正のように告げられた恋人の発言は堪らず咽てしまうほど衝撃が強かった。ゲホゴホ、と肩を揺らしながら咳込むのを暫し引き連れば込み上げる羞恥を隠すと言うのか耐え忍ぶと言うのか、筋張る大きな手の平を使い自身の顔を覆う様に包み耳を赤く染め口をへの字で固定して。羊の姿が見えなくなったところで彼へ顔を寄せれば宛がっていた掌を筈し「今のが羊、双子が店開くっつうならあいつが一番適任だ」顎を使い姿を消した方角を示してから、以前より小物や雑貨を取り扱った店をと話していたのを忘れておらず、性格には難が有る為中々に進めるのが迷い所だと言うのを今の一瞬でも彼に伝わった筈だと踏んで。商品として並ぶ雑貨品は流石バレンタインを意識しているというだけ有り女性が好みそうなものを始めとして、ギフトにも選べれるような男性好みの物まで。お揃いの物、と前提に置きながら考えれば彼の考える通りお揃いと言うだけで意識しないようにしても浮上する照れ臭さが邪魔をして中々選びきれずに頭を悩ませてしまう。時折チラリと盗み見るように彼の様子を眺めて何が欲しいのだろうと言うのを察しの悪い己なりに伺いつつ、先に提案されたマグカップを目に続けられたその理由が正に己の大人げない照れを補ってくれており「__綿菓子ィ、お前って」良くわかってくれている。その大事なひと言は人前で述べる様な言葉じゃないと結局飲み込んだが、先の言葉は隠れる事無く彼を誉めるように上擦る声で。「俺そっちの白にゴールドで抜いたやつが良い」選んだのはオフホワイトのマグカップ、中心に大きく一つのハートがゴールドで描かれた物、選んだデザインは矢張り目を弾く様な派手な物だが、無自覚の内に彼を連想する色を選んでいると言った溺愛っぷりを密かに表して)
トピック検索 |