リーダー 2017-03-25 16:46:39 |
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>早瀬
__耳鳴りがするくらい静かだな。賑やかな"祭り"っつーよりは、厳かな"奉り"になるんじゃねぇか?
( 喧騒から遠ざかる毎に灯りも疎らになり、更なる闇夜が降り掛かる。僅かばかりの月明かりと距離を開けて配置された街灯、遠目に見える住宅地の光が虫食い穴のようにポツポツ散っていた。河川敷で拳を交えるというシーンは青春モノのドラマで観た記憶があるものの、当事者として立ってみれば思った以上に長閑で拍子抜けする。耳に届くのはさらさらと流れる水音や草が擦れ合う自然音くらいの物で、バイクの唸りや囃し立てる観戦者達に慣れ親しんだ今はやや物寂しい。革靴の先に転がっていた小石を拾い上げ、緩やかな投球フォームで川へと放り投げつつ皮肉げに上記述べては手に付いた砂を払い。此方もスーツの上着を脱ぎ斜面の草叢へと乱雑に落とせば向かい合う相手の姿に視線の焦点を絞る。「優しくしないで、なんて言う割には紳士的だな。正直反吐が出そうだぜ」指輪が無くなり幾分かすっきりとした相手の手元を一瞥しては、それが気遣い又は誠意なのか…単に錘を外しただけかも知れない等と暢気に推測を並べ立て。しかし短く一息吐き出すと同時にスイッチはoffからonへと切り替わる。ガンを飛ばし、啖呵を切る__勝負前の儀式と化した一連の所作。不敵な笑みを形作り早速煽り文句を吐き捨てれば、緩んだネクタイの結び目へ手を伸ばし相手の身体を引き寄せようか。距離を詰める事が成功した暁には活気付けに軽く一発頭突きでも御見舞いしてやろうと。 )
>瀬津
__ははは、食わせ方が雑だろうが美味いモンには変わりねぇからな。
( 飴玉一粒程度のアルコール分ではほろ酔いにも満たないが、薫り高いウィスキーの酒気が鼻先に抜ければ自ずと気分は持ち上がる。乾いた笑みを零して上記、そして口内に残った欠片を噛み砕き臓腑へと嚥下し。「そりゃ就活っつーより諜報活動__いや、むしろ道場破りか」清々しい程満面の笑顔を瞳に移せば別嬪の無駄遣いという感想が脳内を過ぎる。何かに付けクレイジーさが滲み出ている相手の事、また派手にやらかして来たのだろうと。ふらり気紛れに席を立ってはテーブルの端に腰を下ろし、相手の襟元から乱れたネクタイを引き抜いて。それを首に巻き付け緩く蝶々結びにしてやると「そういう格好だと見映えするな。中々似合ってんぞ」何処か満足気に目を細めて見せ。 )
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