リーダー 2017-03-25 16:46:39 |
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>早瀬
__あの頃は担がにゃならねぇ神輿があったからな。
( あの頃、と口にしてみれば遠い昔のようにも思える。各々がその肩に担いだ信条、護るべきもの。墜とすか墜とされるか__チームの団旗を賭けて身を費やした抗争続きの日々。記憶の蓋を開けば連動するが如くチリチリと焼け焦げそうな熱が指先へと灯り、瞳孔が微か面積を増す。土煙を被り喧嘩に明け暮れていた光景に華やか等という麗句が宛てがわれるのが何やら珍妙に思えて可笑しく笑みが零れるものの、心踊らされたのは此方も同じだった。ふと肩へ僅かな重みが加わると共に、軽やかで洗練された身のこなしに視線が奪われる。振り払わぬまま近距離まで迫った相手の顔、そしてサングラスの隙間から覗く静かなる深海のような瞳を見遣ってはするり煙草を引き抜き無遠慮に、ふう、と相手の鼻先へ煙吹き掛け甘美な誘いに返答を。「__嗚呼、たまに息抜きしねぇと身体が錆びちまう。此処で会ったのも何かの縁だ。軽く御相手願おうか」その声音は酒の席へでも促すかのような気軽さを帯びた物で。 )
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