赤の騎士 2017-03-01 00:05:01 |
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__このドレスを着たい日はもう決まっているの。来たる日が一週間後か一月後か、何年も先か……それすらも分からない曖昧な目標ではあるけれど、そのために私もこのドレスに見合う対価を準備させて頂くわ。
(素晴らしい作品ほど作者は手元に置いておきたくなるのが芸術家の性というもの、駄目でも仕方のない唐突な交渉であったにも拘わらず嬉しそうに快諾してくれた相手に思わずふわりと表情を和らげると焦がれるような視線をドレスに落として。早速自分に合わせたサイズへの仕立て直しの準備を進めてくれる相手の邪魔にならないよう身動きを固めたまま口を開くと、目の前に置かれたままの鏡越しに自らの姿を今一度目に映しながら静かに語り出し。優美なドレスを着て行きたいと思うのは舞踏会でも茶会でもなく、ただ一人この姿を見せたいと頭に浮かんでしまった彼との大切なその時に。いつか彼が自分の名を思い出し改めて愛を誓ってくれると約束してくれた"いつか"が訪れた日には彼が褒めてくれた瞳の紫にも、彼を象徴する赤にも感じられるこのドレスを着ていたい、自分自身気が早すぎる上少々ませた考えだとは自覚しつつも大切なドレスだからこそ纏うのは特別な日にしたいと願ってしまい。照れくさそうに、少しだけ困ったように言葉を残すと「……だから、どうかこのドレスのことは来たる日まで貴方と私だけの秘密にして」ドレスを求めた上その存在を暫し二人だけの秘密に、なんて我儘な願望を続けるとそっと自らの唇に人差し指を添えて)
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