201 2016-12-29 23:04:24 |
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その晩、わざと怒らせた彼を撮った。夜が明けるまで、くたくたになるまで。けれど満足することはなくて、渇望が干上がった後に残った“これ”は多分狂気なんだと思った。ひとごとみたいに。
半分床に落ちたシーツには、もうどちらのものかわからない体液がじっとりと浸み込んでいる。オンボロのベランダから差し込む光が、シーツと彼の白い肌の輪郭をぼかしながら強烈なコントラストを描いていた。
「あいしてるよ、ベイビー……。俺の、竜児」
ベッドの端で縮こまる彼なんか見ずに、届かなくていいと思って蚊が泣くみたいに呟いたのに。写真を消そうとしているのか知らないけど、カメラを手に持った竜児がソレを床に落として此方を向くから目が合った。
恐ろしいまでの静けさの中、竜児にその表情をさせたのは紛れもなく俺だった。俺がつくった竜児の顔だった。たまらなくなって手を伸ばす。はくはく口は動くのに、呼吸が乱れて何でか言葉は出なかった。狂ってしまえる程一人の男を欲しがった俺もまた、彼がつくった俺だったのだ。
引きずり出した分だけ引きずり出される。俺たちは多分、二人でいられたらそれだけで良かった。
もう三か月も経ったんですね……。夫が連休をいただいて地元に帰省し、一人になった新居で久々にPCを立ち上げたので、突然別れを告げた私にくださったやさしいお返事を今頃になって読ませていただきました。
最後に私が送った文章を読み返してみると、焦っていたとはいえあまりにめちゃくちゃで本当に申し訳ありません……。振り返ってみると昨年末頃から、楽しい時間をありがとうございました。貴方様には感謝の気持ちでいっぱいです。
有人から竜児くんへ、タイトルにもある「ベイビー」呼びが一度もできなかったのが実は心残りだったので、お粗末ではありますが久々に文章を書かせていただきました。
ありったけのアイラブユーと、四か月間の感謝を込めて。この文章を読んでいただけているかはわかりませんが、有人が竜児くんを愛していた証と、素敵なお相手様に出会えた喜びをここに残させてください。
どうか貴方様の毎日も、穏かなものでありますように。
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