2016-12-23 17:14:46 |
通報 |
.
【 物語 】
──2120年某日。新人警察官が首から血を流し倒れているのが見付かった。救急搬送された病院での処置も虚しく、その警察官は帰らぬ人となる。未だ、新米警察官が捜査一課一係に配属になって半年も経たない頃の話である。
それから3年後─2123年。庁内に政府直属の特別捜査本部が置かれる事となる。その発端となったのは3年前、ある新米警察官が亡くなった事件まで遡る。
最初の被害者は3年前の秋。丁度、新米警察官が見付かる3日前の事。1件の通報があり警察官は現場へと赴いた。現場には泣き崩れる初老の男女と、部屋一面真紅の薔薇で埋め尽くされた中に仰向けで眠る女性の姿。首には2つの穴があり、未だ固まり切らない血で濡れていた。青白く冷たくなった肌は僅かに血管が浮き出て見え、全てが一種の芸術品の様にも見て取れる。異様な事件現場に唖然とする警察官を、誰かが笑う。それに気付いたのは、あの新米警察官だけであった。
それから3日後。その新米警察官が瀕死の状態で見付かった。別の捜査の為にビジネスホテルに一人で泊まっていた新米警察官。ビジネスホテルの一室には一面真紅の薔薇が敷き詰められ、ベッドの上で仰向けになった状態で見付かった。傍らには「牙」と血文字で書かれていたが誰一人何のことかまでは解らなかった。それからは同じ状態で見付かる被害者が一気に増え、警視庁の捜査本部も人手が足りず、民間人は不信感と恐怖を抱いていた。
「必ず、貴方達を捕まえて見せます!」と新米警察官があの事件の日に誰に向かって言ったのか、何に対しての言葉だったのかは後々知る事となる。
「政府直属対怪異特別捜査本部」と名付けられたそれは一つの組織として登録されており、言わば警視庁内に設置されながらも警視庁とは隔離された組織である。
待遇はどの職種よりも良い為、正義感の強い人々ならば憧れるその捜査本部。しかし、実態は酷いもので辞めるに辞められない監獄であった。
・捜査中の殉職は名誉な事である(要は国の為に命を差し出せ)
・組織の組員は捜査内容を洩らさない事
・法律に反する行動も場合により辞さない(要は武器の使用、対象を殺めることも辞さない)
・政府の命令には逆らわない事
そういった事が何十項目もあり、それを外部(家族ですら)に吐き出すことも出来ない所為で周囲は組織の実態を未だ知らないのである。
しかし、組織に居るのは単なる警察官ではない。ある人物が自ら自信を持って選んだよりすぐりの者達で構成された組織がこの「政府直属対怪異特別捜査本部」。
そして敵対するのは人間でなはなく、西洋の御伽噺に出て来る化物であった。吸血鬼、ヴァンパイア、等と呼ばれるそれは鋭い牙、爛々と輝く血色の瞳、女性なら誰もが羨む様な白く綺麗な肌をしている。そして何より容姿が美しく、頭も良いのが特徴である為、今迄の被害者もその外面に騙されたと言っても過言では無い。
そんな化物と人間の仁義無き戦いが今此処に始まる。勝つのは化物か、それとも人間か。
【 時間軸 】
2120年‐初の被害者出現
(3日後)女性新米警察官殉職
※この3年間である程度の情報は入手済み
2123年‐「政府直属対怪異特別捜査本部」設置
トピック検索 |