_____依存症。

＞春咲先生

なんて、私も糖分摂取は控えなきゃなぁなんて思ってるんですけれど、
( ちらりと閃いた彼の苦笑に刹那の逡巡。少し苦言を呈し過ぎたか、慌てて補う様に上記を零せば恥じらう如く頬を指先で掻いて。視線をゆるり逸らせば次いで「難しいですね。」と彼へ賛同する様子で頷いて。何と無く冴えぬ頭を醒ますべく、此の侭珈琲でも飲みに行こうか。そう思案しては彼へ誘いの言葉を切り出すべく遠くを見遣っていた瞳を相手の瞳を捕らえる様に戻して。 )
休憩室まで、ご一緒しても？


＞香耶ちゃん

…あら、今日は。どうしたの？
( 扉を開いて直ぐに瞳へと飛び込んで来たのは甘い飲み物を思わせる柔らかい色をした髪の毛。淡い雰囲気を漂わせる一人の少女の其の髪は、多少の嫉妬も混じった羨望の眼差しで幾度か見て来た。自分も同じ色に染めてしまおうか、否、彼女の目がある限りそれは厳しいやもしれない。答えの出ない問答を自分の中で悶々と幾度も行った物だった。そんな彼女が扉の前に待ち構え、且つ無差別の様に話し掛けてくる。僅かに切羽詰まった様な姿に面倒事だろうかと心のなかで溜息を零しながら、ゆるり首を傾げて。 )


＞鈴ちゃん

ええ、暖かいわ。その子にもお揃いの靴下を履かせてあげないと、きっと寒い筈よ、ね？
( 彼女の言葉に視線を徐に縫いぐるみへと。確かに裸足ではあるが果たして彼女とお揃いとは言えるのか。僅かに冷めた思考を展開し。彼女の素肌と冷えきった地面が離れ、再び付く。その音に反応する様に縫いぐるみから自然を彼女自身へと向けて。次いで言葉と共に零された自然の笑顔に刹那瞳を引かれる。儚げな雰囲気を持った少女であると思ってはいたが、笑うと花が開く如く、張り詰めた糸が緩む様な酷く柔い笑顔。幾度か瞳を瞬かせては我に返った様子で頬を崩して見せ。上記を零しながら、同じ様な靴下を作るしか無いのだろうか、等と普段以上の速度で思案し。 )


＞嘉音ちゃん

( 暁闇が未だ空を覆って僅かに覗いた太陽が妙に眩しく感じる。研究成果を纏めた資料を作り終えたばかりの身体は医者であるが故に医者らしからぬ気怠さに包まれて居て。閉鎖された空間にばかり居たからか、其れとも先程白み始めた空を横目で見たからか。何方とも付かぬものの、唯一つ分かっているのは外の空気に触れたい。何と無しにふらりと立ち寄った庭先で見付けた一人の少女。冷え切った耳が朱に染まっているのが視界に移り、自分の白衣を脱いではその後ろ姿に近寄って。其の侭彼女の細い肩へと白衣を掛けては。 )
お早う、何時も此処の花が綺麗なのは貴方のお陰なのね。ありがとう。


＞梁瀬先生

まさか！…煙草はもう十分。
( 軽い様子で自身の声掛けに応じる彼は随分と対人上手な様だ。其の姿は己の持ち合わせぬ姿、故に羨ましいとも刹那感じながらくつりと喉を鳴らして笑って。軽く冗談めかした問い掛けに瞳を瞬かせた後、ふるりと首を横に振って。若気の至り、過去に一度吸い込んだ煙草の苦さと思わぬ部分へと入り込む硝煙。肺に充満した煙で噎せた喉と心地良くも何とも無い気分。煙草は一種の麻薬である。そう結論付けた過去は随分と昔の物で。然し鮮明に覚えている其の様子を思い出しては、浮かべた笑顔を無意識の内に歪ませ、緩々と肩を竦め。 )


＞十和くん

はい、良く出来ました。____ そんな時の為に私達が居るのよ。寝れないなら一緒にお話でもしましょう？
( 少し威圧的過ぎたか。一瞬の反省も彼の従順な姿に掻き消されて行く。上手くいったら褒めましょう、いつか何処かで習った子供向けの教育法をはたと思い出してはへにゃりと頬を崩してから彼の頭を撫ぜて。斯くしてぽろりと零した彼の言葉を掬い上げ、暫しの思案。此の時の対処法なんざを逐一習う訳でも無く、どう反応すべきかを考えて。そして考え出した答えをするりと唇から落とせば首を僅かに傾げ、彼の顔を覗き込んで。安心させる様一つ笑みを浮かべては頭の上に乗せていた掌を頬へと滑らせて。 )