>108 見られている、などとは露にも思わない少女。 パンを持ったまま走って角を曲がるも、誰にもぶつからなければ少し走ったところで立ち止まり、 「ちっ、誰もおらぬのか。やり直しやり直し。」 と、小さく舌打ちをしながらスタート地点へと戻る。 こちらに人が向かってきていることにも気づかない少女は再びパンを抱えて曲がり角へと走りだす。