汐の瞳は僅かな苦痛を滲ませ、此処にはない別の何かを見つめているように思える。 しかし茅人が彼女の瞳を見つめても、それが何かは分からなかった。 きっと彼女の苦しみは、他者には理解出来ないし、助ける事も叶わないのだろう。 しかし茅人はそれを頭では分かっていても、心では受け入れられない。 たとえ理解出来なくても、助けられなくても、何か出来ないだろうか? そんな茅人の思いは、声となり汐に届けられた。