YUKI 2016-11-19 22:11:18 |
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『もの』だけど『物』じゃないと言う汐の言葉はよく分からない。
だが茅人にも、この『本』と呼ばれた物に作者の思いが詰め込められて、それが永い時を重ねて今此処にある事だけは分かる。
茅人の視線にあるその本は、先ほどより重厚で暖かく思えた。
「本は、手紙か…考えた事もなかったです」
「普通は考えないでしょうね、でも私には手紙に思えたの。沢山の手紙を読んで『私もこんなふうに書けたら』と思ってこの仕事を目指したの」
茅人の苦笑に汐は明るい笑みを浮かべ、自身のルーツを話す。
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