贄の子 2016-11-11 23:13:29 |
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――…っは、なんだよ。それじゃあ、俺は……。
(容赦なく叩きつけられる真実。妖しの言うことが本当なのならば、つまりは自分は、儀式と称して捨てられたということに過ぎない。遠ざけるように振るわれる白い尾。普段なら避ける気力も今の自分にはなくて、当たりはしなかったが風圧によりバランスを崩して後ろに倒れ込むように座り込んで。捨てられた、と言葉にしようものなら事実だと自分で言っているようなもので、言葉を無くし。片手を地面に、もう片手を顔を覆うようにすればそのまま沈黙し。捨てられたという絶望、その次には村人への憎いという気持ち。けれど、少なからずとも子として育ててくれた両親の顔が主浮かばれば急速にその気持ちも収まり。ここで、終わった事を思っていてもどうにもならないことを自分は知っている。僅かに残る負の感情を胸の中にしまい込むように立ち上がり、深呼吸を一つ。顔を上げ、冷たい瞳を見据え。「逃げろとお前は言うが、俺にはもう帰る場所はない。宛てにできる人もいない。…妖狐、俺をここに置け。生活できる場を与えてくれるだけでいい。あんたの邪魔はしねぇ」今、大切なのは生きること。それをしっかりと心に刻み込み。向ける瞳で、その意思が曲がることのないことを示し )
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