主 2016-11-07 18:03:31 |
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>環
しゃっこいよ。
(こんな風に寒い日に買ってくれと頼んだアイスは結局風邪を引くからと買って貰えた事が無かったなぁと思い出す。厚着をしていても体内を冷やすようなアイスは矢張り寒さを訴えるのだ、幼少期強請っても買っては貰えなかったアイスの代わりに与えられたのは不貞腐れる自分の気分を持ち上げるような子供だましのお話と夕暮れ道を案内してくれるみたいに繋いでくれた手で。確かに寒い冬なのに、それよりも暖かかったと思うのは手を繋いで帰ることで気持ちが満たされていたからなのだろうか、そんな事を思いながらぼんやりと。手ぇ繋ぎたいと欲が生まれて、黙って繋いでしまえばいいが自分も彼も荷物を持つ現状迷惑でしかないと嫌でもわかり、もう少しだけ我慢して部屋に入れば今我慢した分も目一杯触れ合おうと諦めかけたその時に、以心伝心のように願ったそれを口にされた為超能力でも目の当たりにしたように瞳を輝かせ、差し出された手に自分の手を重ねぎゅうと握り「俺も手ぇ繋ぎたいって思ってはりました」握り締めた手をゆらゆらと気まぐれに揺らして、夕暮れの幼少期とは違い欲しかったアイスを咥えて街灯に照らされる道を歩くのにあの頃と同じで寒さより温かさが広がると胸が少しだけ擽ったくて「たまちゃん、俺のことなんでもお見通しやねぇ」握った手の温かさにこのままでは擽ったいこの感情を追及してしまうと無自覚に恐れ、その手を手放しもう見えて来た家へ駆け出して。少しだけ息を乱して家に到着すれば家の鍵を取り出して扉を開き、外と比べて温かい家に入り込めば顔を覗かせ「早く二人きりになりましょ」とマスクを外しては悪さを含んだ表情でにんまり微笑んで)
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