月 2016-09-03 18:33:52 |
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「あのさ、お前達の前に、この屋敷の主をしていた人はどんな人だったんだ?」
銀色の言葉に糸は少し驚きを見せたような気がしたが、すぐにその気配は消え、糸が言葉を綴る。
「そうだな…先代の主は、優しくて孤独な人だったらしい」
糸の言葉はどこか遠く聞こえた。
冷たくもなく暖かくもない、透明な声。
そんな糸にかける言葉が見つからず、銀色は別の質問をする。
「そっか。ところでさ、朝も思ったんだけど、この食事は糸が作ってるのか?」
「そうだけど、何か不満でもあったか?」
糸の言葉には僅かな疑問が滲む。
「いや、美味しい食事だと思う。ただ、一人で食事の支度をするのは大変じゃないか?」
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