織の言葉は穏やかだが、そこに先ほどの優しさはない。 後ろの道が途絶えたのなら、銀色が進める道は一つだろう。 「分かった、必ず俺はこの屋敷から出る」 銀色の瞳に恐怖は消え、決意の色に変わった。 その言葉に織は楽しそうに微笑み、糸は訝しげな目線を送る。 琥珀の瞳が銀色を捕らえる。 黒に映える琥珀の瞳は、今は見えない満月の色によく似ていた。