月 2016-09-03 18:33:52 |
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その言葉に織と糸は互いに視線をあわせ、小さなため息をつく。
「あのさ、糸、なんで此処に招いたお客さんは皆同じ事を聞くのかな?」
「しらねぇよ、俺に聞くな」
呆れたような表情で話す織と糸の言葉を聞き、銀色は疑問を浮かべる。
《此処の主》が願いを叶えてくれる者ならば、その人の名を知り、直接挨拶をしたい。
銀色の考えは正論と言えるだろう。
そんな銀色の真剣な瞳に答えたのは、織の方だった。
「緊張感を壊すようで悪いけど、此処の屋敷の主は僕らなんだ」
織の言葉に銀色は驚きを隠せない。
だが、そんな銀色の精神など無視し、糸が続ける。
「此処の主は僕達、黒衣織と黒衣糸。黒猫の妖人、黒衣兄弟の屋敷なんだよ」
苛立つように告げる糸の態度を銀色は見つめ、再び織を見る。
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