その日は夏休み初日で、互いに一人暮らしの俺達はバイトもなく予定もないため、いつものように遊ぶ約束をしていた。 昨日メールで話した、桜夜は俺、葉月凪(ハヅキナギ)の一つ年下の幼なじみで、今日は桜夜の家でDVDを見る予定だ。 俺はなれた足取りで桜夜の家に向かい、エントランスのインターホンを鳴らす。 しばらくして聞こえてきた桜夜の声は相変わらず綺麗だった。 「はい、どちらさまですか」 「俺だよ、凪だ」