月 2016-09-03 18:33:52 |
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銀の主はそう呟くと、予め狙いを付けていた、一人の黒い猫の妖人を屋敷に近づける手筈を整える。
銀色の狙う妖人はまず第一に、強い願いを持つ者だ。
強い願いは人を動かして、冷静さを殺ぐ。
たとえ誰が聞いても怪しいと判断する森の屋敷でも、なにものに代えても叶えたいと思う願いはその判断すらも狂わすものだ。
そして第二に、願いは純粋なものが良い。
別に汚れた欲に駆られた願いも、叶えられないわけではないが、そんな願いは好きじゃない。
どうせ同じ叶えるなら、純粋で清らかな願いを叶えたいと銀の主は思う。
そして第三に、叶えてやる相手は見目麗しい妖人が良い。
これは今回の客にだけ必要な事なのだが、銀の主はあわよくばその黒猫を、側使いとして屋敷に置こうと考えていたのだ。
広い屋敷の管理は銀色の妖力でも特に問題はないのだが、やはり人の手のかかる事はあるし、あまりにも退屈すぎる。
そのため、最初の客と遊戯をして勝ち、お手伝いとして屋敷に閉じこめる事にしたのだ。
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