月 2016-09-03 18:33:52 |
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部屋にいたのは織と糸だけで、誰が突き飛ばしたのかは明確だった。
「織、何でこんな…っ」
織に話しかけた瞬間、再び銀色は頭痛を覚える。
室内は今まで見たどの部屋とも違い、畳二十畳はありそうだ。
そのうち右の三分の一のスペースは、横幅の広い簾がかかっていてよく見えない。
見たことのない部屋のはずなのに、なぜか懐かしい。
鋭い痛みは銀色の意識を奪う。
(あぁ、思い出した、俺は……)
「おい、どうしたんだ!」
「銀色君、起きて!」
混濁する意識の中、遠くに織と糸の声が聞こえた気がした。
そう、愛しい銀色の二つの双黒の声が…。
そして思い出す、すべての始まりが起きた170年前の出来事を……。
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