弑 2016-08-27 21:47:52 |
|
通報 |
/ ファインダーの向こう側。
A視点。
( 良く晴れた日、空は青く綺麗で雲もあまりない。開けていた窓から入って来る風は撫でる様に心地良くてこんな日なら散歩でもしようかなと、毎日変わらない部屋の風景に飽きた自分は趣味のカメラを首からぶら下げ、極力荷物を持たない様にしてこの殺風景な部屋を出た。部屋の中では感じられなかった草木の匂いや虫達の音が聞こえ、まるで別の世界に来た気分で暫く歩いていると虫とは違う何かが聞こえてきた。その音に釣られた自身は茂みから顔を出し、何があるんだろうと期待すると目の前に広がったのは辺り一面が花畑の場所であり、その中に一人ぽつんと花を眺めているとても美少年な彼へと視線が向く。柔らかな印象の金髪に空の様に澄んだブルーの瞳、本当に異国の世界にでも迷い込んでしまったかのような光景に目を奪われ、思わず持っていたカメラを構えて一枚写真を撮り「..綺麗。」そう呟く。少し離れていた彼をまじまじと見詰めていると目が合った。勝手に撮ってしまった申し訳なさがあるけれど、此方に気付いた彼は優しげな微笑みを見せてから何処かへと消えてしまって。 )
B視点
(Aよりも少しだけ早い時間の事。空が青くなり、風が段々と暖かくなって来た頃にはもう外を歩いていた自身は昨日の事を思い出していた。昨日の夜、事故とはいえ人を殺めてしまってそれからと言うもの、幾ら時間が過ぎようとも心が晴れず悩みながら足を進めていれば気が付いた時にはもう帰り道が分からない所まで来てしまって。道に迷ったのも自身が迷っている所為だと更に落ち込んでは突然、道が開けた場所へと出た。そこには太陽に向かって必死に生きる草花があり、今も背を伸ばそうとしていて何だか自身が考えていたのが馬鹿らしく思えてきたので考えるのを辞め、綺麗な花々を傷付けないように顔を近づけ「_君達はいいね、僕みたいになっちゃ駄目だよ。」なんて自身の愚かさを吐いていると、奥の茂みの方からガサガサと音がして。何だろうかと音がする方を見るとそこにはカメラを持った彼が此方を見詰めていたので、彼も花を見ていたのだろうかと軽く微笑みを見せ、綺麗な花がこれ以上汚れてしまう前に消えてしまいたくて自身はその場を立ち去って。)
その後、二人は一生会わなかった。
Aは写真の彼を追い続け、Bは心を改めて自首をした。
| トピック検索 |