YUKI 2016-08-21 01:55:44 |
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「ええ、まあ」
短い返事を聞き、藤白は微笑んで告げる。
「寒かったらおっしゃってくださいね」
それだけ言うと、藤白は厨房へと戻り洗い物を始めた。
外を見れば未だに雨は降り続いている。
店の閉店時間は後三時間、止んでくれるだろうか。
もし止まなければ傘を貸してあげよう。
ただしこのお店兼、二階にあるわが家にはあまり傘の種類がない。
ビニール傘が二本と、茶色と赤のチェック柄の傘が一本あるだけだ。
柄入りの傘は明らかな女性ものだし、それを貸すのは彼に失礼だろう。
ならば貸すのはビニール傘が良いはずだ。
藤白は二階に傘を取りに行こうと思い、彼に声をかけた。
「すいませんけど、私少し二階に行ってきますので、お客様がいらしたらお伝え願いますか?」
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