YUKI 2016-08-21 01:55:44 |
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目の前に立つ少年は、一月程前から頻繁に通ってくれている常連のお客様だ。
傘を持たない彼は全身が雨で濡れており、少し肌寒そうに見える。
急いで奥からバスタオルを持ってくると、藤白は優しく微笑みそれを彼に渡した。
「大丈夫ですか?とりあえず、それを使ってくださいね」
「ありがとうございます」
藤白からタオルを受け取ると、彼は小さく会釈した。
奥の方の窓際の席に案内し、藤白は急いで暖房を入れる。
初夏とはいえ、雨に打たれれば体も冷えるだろう。
この天気なら他のお客様はまず来ないと思うし、室温を上げても問題ない。
なにより、彼が風邪を引くことの方が大変だ。
そんな思いを浮かべ、藤白はカウンターの中の厨房で牛乳を沸かし始めた。
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