YUKI 2016-08-21 01:55:44 |
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その日の午後は雨が降っていた。
朝のニュースで午後からは雨降りだと言っていたが、あまりの土砂降りにお客様は一人もいない。
これでも朝からお昼前まではそれなりに混んでいたのだ。
このお店も後数日で二年目を迎えるわけで、常連のお客様も増え、今ではそれなりに貯金も出来るほどになった。
なので来客の少ない日があっても気にはならない。
しかしさすがに三時間もお客様が来ないと暇だ。
ゆっくりと流れるBGMが藤白を眠りに誘う。
このままお客様が来ないなら今日はもう、お店を締めてしまおうか。
『カラン、カラン』
そんな事を思っている藤白の耳に、ドアベルの音が聞こえた。
「いらっしゃいませ」
慌てながらも藤白は、出入口に立つ見慣れた少年に優しく声をかける。
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