微笑み会釈をし、他のお客様にゼリーを配りに行く藤白を横目に天宮は手元の本を開く。 すると本の最初のページから先ほど買った栞が落ちた。 レジ横で偶然見かけた木製の栞。 本物のクローバーを加工し木目に装着されている、シンプルでどこか暖かみのあるそんなものだ。 普段栞など買う事はないのだが、あのときはつい手が延びてしまった。 なぜ惹かれたのかは分からないが、買って良かったと天宮は思う。