YUKI 2016-08-21 01:55:44 |
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思わず口に出して読んだ事を、藤白は後悔する。
いくら偶然とはいえお客様の個人情報を知り、その上声に出すなど非常識だろう。
「すいません、見なかった事にしますので…」
焦りながらも謝罪する藤白の様子を見て、彼も慌ててるようだ。
「いや、落としたのは僕のせいですし、名前ぐらい気にしませんから」
それでも申し分けなさそうな顔をする藤白を見て、彼は少し悩んだあと一つの提案をする。
「では、僕が藤白さんの名を呼ぶかわりに、藤白さんも僕の名を呼んでくれませんか?それなら平等ですし」
彼はこれなら問題ないだろうと、自信のありそうな表情を浮かべた。
確かに、お客様の中には名前を呼びあう仲の人もいる。
そう考えればそれほど問題でもないのかもしれない。
何よりも提案を持ちかけた彼の表情は、名案だろうと言いたげで笑いを誘う。
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