月 2016-08-05 23:20:23 |
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「ばらしていないだろうな」
ぶっきらぼうな物言いで、アレンの髪を一房指で掬い問う。
そう、自分達の関係は教団内では内密になっているのだ。
ここは特殊な場所だ。
特に禁止という話を聞いたわけではないが、明日命を落とすかもしれない者達に愛する者がいるなど、ましてやそれが同じく戦う者なんて話はあまり良くは思われないだろう。
良くも悪くも言い話ではないはずだ。
しかし、それを分かっていた上で俺達は引かれ逢ってしまった。
ならばせめて、教団の者達には内密にしようと付き合う時に決めたのだ。
「ええ、心配ありません」
アレンは微笑みながら、しかし自分に会って口頭一番がそれなのかと少し残念そうな目をしていた。
「そんな目をするな」
その視線の意図を察すると神田自身も目線を逸らし、とりあえず部屋の鍵を閉めベッドに腰をおろした。
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