月 2016-08-05 23:20:23 |
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「ほら」
アレンが目を閉じていたせいか、気づいた時には神田の手にアレンの上着があり、指先も離れていた。
「どうかしたか」
状況を理解していながら神田はアレンに微笑し言う。
「なんでもないですよっ」
自身の頬を薄紅に染め、わずかに震えながら否定するも、それは辱めにあわされた怒りと羞恥によるものであり、アレンが声を荒げるのは当然だった。
「そうか、ならいい」
微笑を隠さず机の側にある椅子にアレンの上着をかけると、僅かに神田が何かを手にとったように見え、アレンは訊ねてみる。
「それは」
「お前にやる」
アレンの手には漆黒の四角い箱に赤いリボンのかかった、その両手から僅かにはみ出す位の物があった。
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