黒猫 悠華 2016-07-27 20:46:22 |
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しばらくして何かを思いついたようにユーヤは息を吸った。
「……く、黒猫。黒猫!黒猫人形!!出てこい…出てこいって!!」
「ねぇ、レーナ。この子は誰なの?」
「お、おね、えちゃ」
私はまだ衝動を隠しきれない。
目の前にお姉ちゃんがいるなんて、夢みたいで。
目の前にお姉ちゃんがいるなんて…最悪だ。
あの頃の思いが思い出される。
いつもいつもみんなはお姉ちゃんを見てた。いつもいつもみんなはお姉ちゃんを誉めた。
いつもいつも、私は一人ぼっちだった。みんな私を見てくれなかった。誉めてくれなかった。頭をなでてもらえなかった。誰も私を必要としなかった。誰も私の存在証明してくれなかった。
もう、消えてしまいたかった。
「なぁ、なぁ!黒猫人形っ!」
だから、ユーヤが、心の中で、私のことを、どう思ってるか、なんて。知りたくない。
「…おねえ、ちゃん」
「? レーナ?」
「……どう、してわた」
〖はいはーい!呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーいだぁっ!?〗
ユーヤは人形をぶったたいた。痛そう。
というか私、今、勇気もって言おうとしたんだけど。
「おっせぇんだよ!生意気人形!!これはどーゆーことだよ!?」
〖だぁかぁらぁー!言ったでしょー?“生きる意味”以外はなんでも出るって!僕は忠告したもん!〗
あぁ。そういうことか。
私が昨日(といえるのか定かではないので、寝る前のこと、っていう会釈で)、ふとお姉ちゃんにあいたいな、なんて思ったから、本当に出てきたんだ。
「じゃあなんで俺のときは妹が出なかったんだよ!」
〖そりゃあ君がどこか出てきてほしくないとでも思ってたんでしょー!とにかく僕のせいじゃないかんねー!〗
「じゃあそれでいいからどーにかしろ!」
黒猫人形は私の方を向いた。私にどーするか目で訴えてるつもりだろう。よくわかんないけど。
「……ちょっと、まって」
「……おう」
どうせ、最後なら。どうせ、偽物なら。
本音くらいいったって、伝わらないならいいじゃない。
全部、吐き出してしまえばいい。
そう思ったのを汲み取るように黒猫人形は笑った。
〖じゃあ悠哉くん!ちょっと外でようか!〗
「……ん」
1人と1体はドアの外へ出て行った。
突然心の中に響いてきたのは黒猫人形の声だった。
〖伝わるか伝わらないか、それは君次第さ。僕らが決めることじゃない。この世界は気持ちの大きい方が無敵なんだ。気持ちさえあればなんだってできる世界だからね〗
よくわからなかったが私はお姉ちゃんの前にたった。
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