都々 2016-06-18 21:21:15 |
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身体から体温が少しずつ奪われていくのが分かる。酷く冷たいコンクリートはとても寝心地が良いとは言えなかったが、今の私にはお似合いの場所に思えた。
薄汚れた地面に広がっていく赤。こんな自分でもまだ体の中には人間らしい物が流れていたのだと、その時初めて知った。
誰かを不幸にするばかりの人生だった。
家族も、友人も、こんな私に手を差し伸ばしてくれた人さえも。
あの人は、無事だろうか。朦朧とする意識の中、ふと散々傷つけた人の姿が脳裏に浮かぶ。そんな風に思うことすら許されないのだとわかっていても、願わずにはいられなかった。余りにも多くの命を奪いすぎた私に、最後まで背中を向けなかった人だから。
どうか生きていてほしい。そう思いながら、重い瞼を閉じた。
──あの人の声が聞こえる。走馬灯にしては鮮明で、今までに聞いたこともないくらい懸命に私の名を呼ぶその声に、目を開く。
何故だか酷く温かい。それが人の体温だと気付くのに多くの時間を要した。誰かに最後に抱き締められたのは、果たして何百年前だったか。
もうその姿をはっきりと見ることも、声を発することも叶いそうにない。けれど、私は確かにその言葉に救われたのだ。私は生きていて良かったのだと。
「俺が一緒に死んでやる。だから、」
: もう悪役なんてやらなくて良いんだ。
(あなたは『いたい、つらい、くるしい、なきたい、と何度も思う中で、救われたいとは思った事がない、救われてはいけないと思っている』少女を幸せにしてあげてください。?
https://shindanmaker.com/474708)
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