悪魔 2016-05-18 19:23:12 |
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(城壁の上によじのぼり相手の隣に腰掛けると、同じく眼下の景色を眺める、とつぜんの光にまぶしそうに目を細める。夜景を美しい、と表現することは知っていたが心からなかったように感じる。夜景は人間が夜中にも休むことなく忙しなくはたらいている証だ。この明かりの中で人間の生活の営みが行われている、そんなことを感じても純粋に景色としての美しさを感じたことはなかったように思う。自分にとって価値あるものは生きるためのお金とご飯で、景色なんて眺めても腹は膨れない、そう思う。ふと横を見れば虹彩一杯に夜景を映し、夜景色の瞳で弾んだ声を上げる姫君がいる。このただの灯りの集まりに、綺麗ということばをあたえるその心が美しいとおもった。この時だけ、景色に美しいと感じる心が欲しいと思った。そのくらい、景色に魅入る姫君の顔は安らかで穏やかで、そして美しかった。)
そうだな。(わかったような声をだし、景色を見る。この人は自由を持たなかった代わりに自分にはないものを持っているのだと改めて実感した。この人に外の世界が必要だったように自分にはこの人が必要なのかもしれない、そんなことをぼんやり思った。)
そろそろ、見つかる(はっ、と時間のことを思い出し軽やかに城壁を飛び降りる。しなやかに着地し振り返ると、受け止めてやるから降りてこい、と言う旨のジェスチャーをし)
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