藤村伊織 2016-05-07 12:59:57 |
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…あのメガネ、余計な事しやがって。(勝手に上がり込みキッチンへと向かう彼を呆然と見つめていたが、直ぐにはっとしボソリと呟けば、ゆっくりとだが後を追う。此方の状態に気付いた蒼星が気を回して彼に見舞いを頼んだのか、それとも彼の独断なのか。どちらにしても彼がこうして訪ねて来てくれた事は有り難く。先程は驚きや照れ臭さから可愛げない台詞を溢してしまったが、本音を言えば嬉しい。寝ているように言われたもののベッドには戻らずリビングのソファーに凭れれば、手際よく料理を始める相手をそこからぼんやりと眺めていて。先程まで夢の中の相手に恋い焦がれ、目覚めても尚相手を想っていたせいで、何とも言えない切なさや愛しさが込み上げて。熱のせいもあってか少しばかり歪む視界に眉を寄せるとソファーに深く凭れたまま天井を見上げる体勢で目元を腕で覆い。不意に静かに投げ掛けた疑問は試すような響きで、そこに期待が含まれている事を何となく気付かれたくなくて)
……なぁ、何で来たんだよ。罪悪感なら要らねぇぞ。こうなるのも覚悟の上だったしな。
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