?? 2016-02-16 19:04:26 |
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>>ひらの
(がちゃりと無機質な音を鳴らして鍵を回し開け放ったマンションの扉は、蝶番が弱り始めているのか甲高く弱々しい声を上げて。元々ボロいマンションとはいえ部屋を借りる以上は何処か悪くするのは忍びない_仕方なく靴箱を開ければ油差しを取り出し、蝶番へと油を差して。また何れ点検が必要だろう、休日にでも直すか。頭の中で素早く予定を見合わせ思えばいそいそと自室へ身を滑り込ませ、またがちゃり、音を鳴らして施錠をし。_帰宅して先ずする事と言えば当然手洗いうがい、加えて着替えと決まっていて。丁寧な手洗いうがいを済ませれば、着ていたワイシャツ等を洗濯機に放り込み代わりに古着屋で見つけたジャージを身に纏って。袖を捲れば、さあ次は料理_と、其処で着信音が聞こえ。自身は人との遣り取りは比較的少ない方で、だからこそ、その着信はきっと彼からだろうと直ぐに思い至り。机に置いていた携帯を手に取りその場で確認してみればやはりと言うべきか。相手のメールアドレスを登録し、文面を見詰め。「……顔文字…」彼は顔文字を使用するのか。驚きのような、戸惑いのような、微笑ましいような、よく分からない雑多な意味を持った呟きが思わず零れ落ちて暫し手は止まるが、顔に微笑が滲み出るのと同時に動きを再開し。“俺の方こそ今日は感謝している。メールもありがとう、アドレスは登録しておいた。今月は暇な時間が多いから、早ければ今週や来週辺りに部屋へと招待できるが…お前はどうだ?”。そう打ち込み終わるとはてなマークの付いた可愛らしい顔文字を付け足すが、少しの気恥ずかしさから文面の確認もせずに送信し。らしくないことをしたが、彼は一体どんな反応をするだろう。そんな事を考えながら、手際良く調理へと取り掛かり。)
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