メモ用紙 2016-02-01 17:33:16 |
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きみからのお手紙、ほんとは、もっとずっと早くに気づいてた。でも、どんな言葉を紡げばいいのか分からなくて…こんなに遅くなっちゃった。ごめんね。
きみの誕生日を忘れるはずがないよ。だって俺にとって、すごく、すっごく大切な日だから。…スマホにあのケーキの写真送っといたんだけど、見たかな?まぐろとかサーモンのお花で飾られててきれいだし、とても美味しかったよ!!「誰かと…」なんて呟いてたけど、胸のなかに想い描いてたのは、きみのことだった。夜空のお星さまに一縷の望みを託してみたけど、きみの決心が揺らがないことも分かってたから…あの後、イマジナリーなきみと一緒にケーキを食べました。オタクはこういうの得意分野なんで(親指ぐ←)
冬の始まり、そして、夏の終わり。きみに別れを告げられたときからずっと考えてた。俺に非があるわけじゃないって言ってくれたけど、一緒に過ごしてるうちに価値観の違いを感じたのかな、とか…ほら、俺、不埒ものな節があるから…それで呆れられちゃったのかな、とか、いろいろ内省してたんだよ。だから、きみの気持ちを伝えてくれて、ほんとにうれしかった。俺からしたらきみだって充分に魅力的だし、真っ直ぐで、お茶目さんで、傍にいるとあったかくて、今まで出会ったひとの中でいちばん誠実だった。みんなからきみを奪ってしまうことの引け目を感じてたのは、俺も同じだよ。…それか、それ以上だったかもしれない。
たくさん不安な思いをさせたよね、ごめんなさい。でも、きみに飽きるなんてことは有り得ないよ。だってきみみたいなひとに出逢ったのは初めてだったから。きみとしたいこと、行きたい場所、見たい風景、もっとたくさんあったから。きっとこれからだって、デートしたあの場所に赴くたび、花火を見るたびにきみのことを思い出す。俺が俺である限り、ずっときみのとりこだよ。
…とはいえ、離れたのは正解だったかも。いま俺は就活生だし、そろそろ卒論にも取り掛からなきゃだし…私生活にかまけて、きみをほったらかしにする可能性だってあったからね。だから…って言っちゃなんだけど、きみが胸を痛める必要はないよ。
抱いていた想いを伝えてくれたこと、きみがつつがなく過ごしてることを知れただけで、俺には充分すぎるくらいの贈り物です。本当にありがとう。
俺も、きみの健康と幸せを願ってます。
──…あ、そうそう。折角筆を執ったんだし、わがままをひとつ残して行ってもいいかな。
もし万が一、億が一、いや百那由多が一?人恋しかったり、話し相手が欲しかったり……とにかく、きみの気が向いたら、みんなと過ごしたあの部屋に、星の灯りをともしてほしい。俺の他にも、きみを大切に想うひとはたくさんいるから…きみの姿を見れば、きっと、ううん、絶対よろこぶと思うんだ。
もちろん、きみの姿を見かけたとしても俺は声をかけたりしない。だって、きみと言葉を交わしたら、またきみのことがほしくなっちゃうからね。
…さて、きみ宛ての手紙にピリオドを打ってしまうのは名残り惜しいけど、涙やら燻る恋慕やらが溢れてしまわないうちに、そろそろおしまいにしておこうかな。
さよなら、俺のお星様。元気でね。
( スペース感謝です。)
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