神技(シンギ) 2015-12-06 05:44:43 ID:e387a492e |
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「姉さんも喫茶店でくつろいでないで運動すればいいのに…。」
愚痴を溢すは骨収集家・弥菜の従者こと狂骨。
数時間前に主より頼まれたお使いで人里離れた樹海へとやって来ていた。
「狐、ね。妖術を用いるとかなんとか…。正直かなり物騒だよね、めっちゃ気負いする。」
(『狐の霊薬』。難しいことは考えなくていいよ、それを貰ってきて欲しいのさ。)
「そんな高位なモノ、簡単に売ってくれるのかな?…そもそも金銭に興味があるのか?紙切れよりも油揚げとかの方が効果的だったりして。うん、その方がいい気がしてきた。」
本気で切り返してスーパーにでも寄ろうかと思案し始めた狂骨。
「(市販の油揚げで満足してくれるといいけど。長年生きてるうちに舌が肥えてたりしたらどうしよ…。手作りとか嫌だよー。姉さんを始め誰も手伝ってくれなさそうだし。)」
考えを纏めながら切り返し、行きで見かけたスーパーの位置を思い出す。
「ホンナならお願いすれば手伝ったくれるかも。がしゃは…交渉しだいだろうね。最近は何にハマってるって言ってたかな。ええっと…ん?」
思考の加速と同時に歩みも足早になっていく。
が、とあるところを点にそれは失速していった。
「あ、すいません。前見てなかったッス。」
ジャージにコートという異質な出で立ちの少女。
あちらも考え事をしていたのか狂骨の目の前で彼の存在に気づき立ち止まった。
「いえ気にしないで下さい。こちらも上の空だったので。」
「そうッスかぁ。お互い気をつけないと危ないッスね。世間も物騒ですし。」
軽く会釈するとは少女は通り過ぎていった。
こんな人気の無いところに人が来るなんて珍しいな、と狂骨は考え、
爆ぜた。
「ホント、物騒ッスよねぇ。爆弾魔が彷徨いてるなんて。まあ、でも良い爆ぜ具合でしたよ?最近はなかなかできなかったか…ら?」
爆炎立ち上る中、ユラユラと朧に揺れる人影は一向に消え入らない。
地に脚を着けた不動の人影から声が届く。
「貴方が静江さんの言っていた爆弾魔ですか。もっと凶悪な感じのイメージだったんですけど。ちょっと予想外ですね。」
「噂メッチャ広がってるんッスね。それのその特殊メイク熱いッスね。まぁ、その辺はよく分かんないですけど。」
一撃では仕留めきれないと察した少女はコートの袖口より大量の爆薬を放つ。
大小様々でその数、約20。
少女の掌より大きく弧を描き放たれたソレは爆心地に到達すると同時に更なる爆発を引き起こす。
「………。まあ数増やせばいいってもんでもないッスよね。お兄さんメッチャ頑丈ッスね。」
爆音ととも引き起こされた爆撃を片手でしのぐ狂骨。
ただし、それはただの手ではない。人にはあまりあるサイズにまで巨大化した骨腕だ。
「気乗りしないですが姉さん達や静江さんにも迷惑かかりそうなので、僕が御相手をしますよ。」
「あー、特殊メイクと合わさってめっちゃ格好いいスね。大きくなった腕といい、ギア3派ッスか?」
「残念だけど、ギア2派だよ。僕は」
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