＿ はちみつれもんと . お砂糖 .

ぬちょり､そんな音が聞こえた。
きっと、多分、大方、首がもげた音ね。
誰のかな。ﾏﾏの、かな。それともﾊﾟﾊﾟ? おばあさま? おじいさま?
誰でもいい、それよりもこの鉄みたいな鼻につく香りをなんとかして!
頭がおかしくなっちゃいそう。
バタークリームなんて塗ってる場合じゃないの、ほら早くなんとかして頂戴。
あぁ、違うわよ、バタークリームはそこの棚!
外に出る? 何を馬鹿なこと言ってるの、こんな真っ赤なまま出るなんて御免だわ。
仕方ないわね、新しいドレスを用意して。
あぁ今日はそれじゃないわ、ﾊﾟﾊﾟのお土産の、そうそれ、その綺麗なｴﾒﾗﾙﾄﾞｸﾞﾘｰﾝのドレスよ!
髪飾り? そうね…、そこのシルバーのリボンでいいわ、ほら早く!
本当はシャワーを浴びたいけれどそんな暇はないわね、そろそろ出るわよ、準備は良いかしら。
さよならﾊﾟﾊﾟ、ﾏﾏ。おじいさまおばあさま。
こんな子にしたのは貴方達よ、もう二度と会うことはないでしょうね。
殺人鬼に仕立てあげていただいて感謝してるわ、さよなら。永遠にね。
愛しき両親へ

殺人鬼 リディ