◇ 2015-11-10 23:25:45 |
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...待って、!
( 思わず彼のコースを掴んだ。なんで引き止めたのか、なんで呼び止めたのか自分でもわからない。いやただ単にわかろうとしないだけで本当はきっとわかってるんだろう。それじゃ、認めたくないのは何故か。どうして良いのかたちまちわからなくなりそのまま突っ立って時間は時に甘く時に残酷に過ぎていく。心地の悪い沈黙とやはりこんなときでも優しい彼の眼差し。すでにキャパオーバーしている脳は打開策など見つけてくれるはずがなかった。驚くくらい大きな声をかけたものである。こんなに大きく必死な声を出したのはいささか初めてではないだろうか。彼に出会うまで自分をこんなに混乱させて思考回路をすぐに遮断して困らせて喜ばせて。感情を忙しくさせる相手など毛頭いなかった。それどころか感情を表情にするのが苦手な自分にとって友達作りとはあまりに酷なもので。勝手に近寄っては"つまらない""空っぽ"と吐き捨て勝手に去っていく者たちばかり。何をしたわけでもないのにそういう対象にされたこともあった。次第に自分も馬鹿みたいにそいつらの言葉を鵜呑みにして私はつまらない、空っぽで中身のない人間、と。思い込んでいた。それをいとも容易く打ち壊してしまった。目の前の彼は微笑む彼は自分へ手を差し伸べてしまった。そんなことないよって根拠のない言葉はどうしてか暖かいもので、自分の心を満たすには十分すぎる。大勢は得意ではない。だからって独りも得意ではない。どうにかしてほしい、助けて。SOSを出した自分に居場所を与えてくれた。それだけでもう満ち足りたはずだったのに。何で人はこんなにも欲深い動物なのだろう。彼からの愛を求めるなどおこがましく思わないのか。それでもだって気持ちは募るばかりで抑えても抑えてもコップから溢れるばかりで。いつか彼がまたきっと私の気持ちに気づいてくれると思っていた。好き、って気持ちさえも掬ってくれると思っていた。だがもう甘い考えは捨てなければならない。自分から口に出さなければならない。変わりたいと思ったからコートを掴んだのではないか。さあ、言葉を紡げ、自分の言葉で。)
【創作♀→創作♂への告白一歩手前シーン】
*心の中では喜怒哀楽の激しい女の子が表情の変化が乏しいのって可愛いと思います←*
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