GM 2015-10-11 04:05:44 ID:3dd3b643f |
|
通報 |
「…君たちは本気で言っているのか?この者をこのまま放免しろと…?」
黒服は明らかに動揺していた。
遠巻きに事の顛末を見守っていた人だかりも、凍りついたように息を潜めている。
どうやら、この場において〝異質〟であるのは、あなた達ふたりのようであった。
「いくら君たちが提訴を行わないからといって、公共の秩序を乱した人間を何の咎めもなしに放置する訳にはいかない。
君達はルベトの、ひいてはレンドリース全体の有り方を否定するつもりか?」
黒服は信じられないようなものを見る目つきで、あなた達ふたりの言葉を聞いていた。
しかし、スウェルスの操作する端末の画面に〝レオーナ〟の文字を見つけた黒服は、要領を得たように頷いた。
「ああ、異民管理局のエレウテリア氏を知っているということは、君たちは異世界から来た人間か。納得がいったよ。
いいかい、君たちがどのような社会制度を持った文明からやってきたかは知らないが、
今、我々はこのレンドリースという海中を漂う潜水艦の中で、限られた自由と平穏を、日々恐々としながら享受しているのだ。
我々治安維持局は、市民が求めるその些細かつ甚大な権利を護る為に、ありとあらゆる手段を行使する権利を有している。
それは周りにいる聴衆も納得の上でのことだ。」
黒服はあなた達の身の上を理解した上で、あなた達を懇々と言い諭し始めた。
それは、一見穏和に見えるこの世界の人々が、いつ襲撃をして来るとも分からない怪物に怯えながら過ごしていることや、
極々軽い犯罪行為であれ、この狭い艦の中での社会規則の軽視は、即、艦の運営に致命的な影響を与えかねないこと。
そして、この世界における金銭は、政府から充分な額を平等に分配されていて、金が無いことは即ち、本人の金遣いの荒さが原因であることを。
一通りの説明を終えた後に、黒服が小さく言葉を漏らした。
「…君たちの元居た世界は、よほど平和なところだったのだな…。 …羨ましいよ」
サングラスの下からでも分かるような、羨望の眼差しが、そこにはあった。
「それでも何か物申したいのであれば、いいだろう。エレウテリア氏に連絡を取ってくれ。」
| トピック検索 |