GM 2015-10-11 04:05:44 ID:3dd3b643f |
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とりあえず矛を収めたふたりに、黒服は安堵の表情を浮かべた。
しかし、スウェルスの怒気のこもった並々ならぬ抗言に重々しく頷き、謝意を示す。
「君たちには君たちなりの苦慮があるのだな…。
言い訳がましいかもしれないが、私は〝先の大戦〟で家族を失っていてね…つい、異世界に夢想してしまったようだ。
君の怒りも尤もだ。これまでの言動を詫びよう。申し訳なかった。」
黒服は、スウェルスと長篠に深々と頭を下げた。
あなたたちふたりと黒服との中にあったわだかまりが清算されたところで、長篠の鋭い問いが若者に突き刺さった。
若者は居心地悪そうに身じろぎをすると、躊躇いながらも、ポツリポツリと話し始めた。
「…オレもこの治安維持局の兄ちゃんと同じクチさ。
〝エトマルキア第二次攻勢〟でオヤジを、その後、病気でお袋を亡くしたんだ…
家族を失った悲しみを、とにかく酒で紛らわせたかった…
気がついた時には両親が残してくれていた貯蓄も、全部酒に消えちまってたってワケさ…」
言葉尻は蚊の鳴くような声になっていた。
しかし、若者はうな垂れていた顔をあげて、ひしとふたりを見つめると、弱弱しい口調ながらも言葉を続けた。
「…都合のいい話かもしれないけどさ、オレ、この兄ちゃんに殴られて目が覚めたよ。
このままじゃ死んだオヤジ達に顔向けできない。真人間に戻らなくちゃいけないってさ。
ピンク頭のねえちゃん… 怖がらせるような真似をしてすまなかったな。
オレが言うのもなんだけど、ここはオレみたいなゴロツキは本当に少ないんだ。安心してくれよ。」
黒服は若者の言葉を聞いて、きつく捻りあげていた若者の両腕の拘束を、心なしか緩めたようだった。
「…ということだそうだ。この者には更正の余地がある。恐らく、社会奉仕刑に服しながら矯正プログラムを受けることになるだろう。
…私はこの者を署まで連行しなくてはならない。そろそろ失礼するよ。縁があったらまた会おう」
黒服は若者を連れ立ち、人垣の中に消えて行った。周りを取り囲んでいた人々は暫くあなた達ふたりを興味深そうに見ていたが
それぞれの用事を思い出したのだろう。やがて思い思いの方向に散っていった。
さて、まだ時間は正午を過ぎたばかりだ。
あなたたちはこのまま家に帰っても良いし、市内を散策しても良い。
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