n 2015-08-12 16:23:27 |
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>58 霧雨
霧雨…、
( 檻の中から出る相手の目をじっと見詰めていたが、刹那視線が絡み合うと咄嗟に息を呑み。それが何故なのか分からないが、まるで心の奥底まで覗かれている様な感覚は非常に居心地が悪く、堪らず視線を逸らして。その際に相手が呟いた言葉の意味は分からない。だが、己の予想はあまり良しとしない方向へ当たってしまった様な気がし、口角を上げるその表情を微かに眉を潜めて見遣り。然しそんな微かな不快感は檻の外で思うままに身体を伸ばす相手へ目が奪われる事で簡単に払拭されてしまい、檻の中で身体を屈めていた際には気が付かなかった視線の高さの差に強くなるのは恐怖心だけでは無く。独り言のように呟かれたその名を口の中で復唱し、響きの中に混じる雨の音を感じ取って。雨は嫌いでは無い。綺麗な名前だと、思わず自らの名と比べてしまった事に淡い嫌悪を抱き。そこへ唐突に縮まる視線の距離に再び先程の不快感が先にも増して色濃く蘇り、それは同時に不快感だけでなく恐怖心をも呼び寄せて。物理的にだけでなく、己の領域を侵される。そんな危機感から素早く目を逸らし釣られるようにして一歩後退すると、伏し目がちなままに「…若宮、」と自らの名を口にしようとし。そこで思い留まってしまったのは先程感じた劣等感の所為もある。だがそれだけでは無い。己の名を辟易する理由を、自分ではよく理解していて。一瞬の無言の後何処か現状を諦観するような、そんな面持ちで続け )
…真冬。
( / 予定よりも大分遅くなってしまい、申し訳御座いせん;;やっとゆっくり時間が取れましたので、お返しさせて頂きますね!お手空きの際にでもまたお付き合い頂けると幸いです! )
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