土佐人 2015-05-26 05:15:51 |
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「----仮面ライダー……本郷猛め!また一文字隼人を救けるために現れたのか!?愚かな奴め!飛んで火に入る夏の虫とはオマエのことだ!!今こそ積年の恨み晴らしてくれる!!」
そう言って、ビッグマシンは単眼(モノアイ)からメカニズムを狂わせる特殊音波を放射した。
「あの時は私の放射する特殊音波が『ショッカー』の電子頭脳(コンピューター)を狂わせて、ショッカー大要塞を爆破させてしまったがな……。だがな、ここはもう廃墟なのだ。つまりもう電子頭脳を狂わせる心配もない。誰に遠慮がいるものか!!片っ端から超音波を浴びせてやる!!」
ビッグマシンは怒濤の勢いで超音波を放射した。始めのうちはその攻撃をかわしていた1号ライダーだったが、執拗なビッグマシンの攻撃にあえなく超音波を全身に浴びてしまった。
「ああ……本郷!!だめだ……!!」
これでもう、ビッグマシンの勝利は確定である。そう悲観する2号ライダーだったが、どうしたわけか1号ライダーはその超音波をものともせずにビッグマシンに向かって行った。
ビッグマシンも驚愕している。
「バ、バカな……改造人間(サイボーグ)のオマエがどうして平気でいられるのだ?私の超音波を喰らって動けるなんて……。そんなことはありえないはずだッ!!」
大いにうろたえるビッグマシンの前に、1号ライダーは悠然と立ちはだかった。
「ビッグマシンとか言ったな……。その自慢の眼で私を良く見るんだッ!」
「な、なんだと?」
そして1号ライダーは大きく右手を振り上げた。
「----ロープアームッ!!」
右手から伸びたロープの先の鉤爪が唸りをあげて、ビッグマシンの単眼にぶちあたった。その衝撃でゴーグルは四方に砕け散り、その奥に潜む内部メカをも粉砕した。
「ギャッ!!」
ビッグマシンの悲鳴と入れ替わりに、2号ライダーは自由を取り戻した。
「チクショウ。よくも今までやってくれたな!!」
そう叫んで2号ライダーは渾身のチョップをビッグマシンの胸板に叩き込んだ。
「喰らえ!!ライダーチョップッ!!」
ビッグマシンの強固な身体に亀裂が走った。
「ギャーッ」
断末魔の叫びをあげながらビッグマシンは爆発炎上した。その影響で地下室は一転、暗闇から昼間のような明るさを取り戻した。
爆炎に照らされる1号ライダーの顔----。
それを見た2号ライダーは驚きの声をあげた。
「お、オマエは……?」
青い仮面に黄色いマフラーがなびき、剥き出しとなっている口元からは優しい笑みがこぼれている。
なんと彼は『ライダーマン』だったのである。暗闇がライダーマンを仮面ライダー1号と見誤らせていたのだ。
ならば機械を狂わせるビッグマシンの超音波攻撃を浴びても、動くことができたのは道理である。ライダーマンは他のライダーたちとは異なり、改造手術を受けていない生身の身体なのである。
「----どうしてここに?」
2号ライダーの問いにライダーマンは、
「立花さんに呼ばれたんです。日本が大変なことになりつつあるからと……」
「そうか、なるほど。立花さんが……」
「私にも協力させてください」
と、ライダーマンは白い歯を見せて微笑んだ。
特撮ノベル『仮面ライダーEVE 哀哭編』ACT.10 似ている男 仮面ライダー2号(一文字隼人) ライダーマン(結城丈二) ビッグマシン より
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