ステージは黒煙に包まれ、天馬と小百合のシルエットさえ見えない。 その時、女性の声が響いた。 「逃がさないわよ、小百合」 空耳だろうか。もう一度振り返るが、もう炎と煙しか見えない。 海堂尊『ケルベロスの肖像』26章 天馬、飛翔す 本文 より