土佐人 2015-05-26 05:15:51 |
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水木は他のマンガ家さんの作品をほとんど読みません。自分の作品が掲載されている雑誌が送られてくると、ペラペラめくって他の作品もちらっと見るのですが、それだけでした。その作品やマンガ家の本質を見抜いてしまうようなところがあります。
そうしたある種の才能というか直感は、マンガ以外のものに対しても発揮されました。たとえば娘たちが、「仮面ライダー」なんかを見ているときに通りかかったりすると、ちょっとだけ立ち止まり、テレビを眺め、「次はこうなって、こうなって、こうなって終わりだな」といって去っていくのです。すると、水木のいうとおりになってしまうのでした。やがてテレビを見ているときに水木がとおりかかると、娘たちが先を制して「お父ちゃん、次のことはいわないで!」というようになりました。結末がわかってしまっては、つまらないからです。
(略)
そういえば、後年、水木が手塚治虫文化賞という賞をいただいたときの受賞式で、手塚さんの長男の手塚眞(まこと)さんが、
「私は子どものころ、水木さんのマンガが好きで、私が熱心に読んでいるのを見て、父はかなり気にしていたようです」
と挨拶されて、会場の笑いを誘っていましたが、お互い様といおうか、ある意味では、わが家でも同様のことが起こっていたわけで、いまでは微笑ましい思い出になっています。
武良布枝『ゲゲゲの女房』六章 名声ゆえの苦悩と孤独 ちらっと見れば、全部わかる!? 本文 水木しげる 手塚眞 より
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