土佐人 2015-05-26 05:15:51 |
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「オレが講談社児童漫画賞というものをもらうことになったらしい……」
水木は、興奮を抑えたような口調で、ポツリとそういったのです。
もちろん、私は講談社児童漫画賞がどれほど権威のある賞なのか、くわしいことは知りませんが、大出版社の賞ですから、ひょっとしたら大変な快挙を水木が成し遂げたのではないかと直感しました。
「お父ちゃん……」
……胸が高鳴って、そのあとの言葉が出てきません。すると落ち着きを取り戻した水木が、軽く咳払いをしてから、いつもの飄々とした表情で、
「まあ、オレがそういう賞をもらうのは当然だがな」
なんていいました。でもその様子には、水木の感激が滲み出ていました。
やはりそうです。水木は、やったのです。
「ついに来るべきときが来た!」
私は心の中で、思わずそう叫びました。
武良布枝『ゲゲゲの女房』四章 来るべきときが来た! ついに「来るべきとき」が……! 本文 水木しげる 武良布枝 より
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