n 2015-03-30 20:13:58 |
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ふうん……なんかさ、一緒に住んでんのに知らないことばっかだね(彼がたまねぎ好きなこと、チーズは食べられること、素直に美味そうな顔して食べること。久しぶりに台所に立って立派とは言えないけれど他人の為に料理をした所為だろうか、今日初めての食事だからだろうか、何だか少し改まった気分でちまちまとハンバーグをつつきながら向かい側の彼を上目遣い気味に見遣り、暫しの沈黙の後で口を開く彼に上記を返し。新鮮な気持ちで彼のことを考えてみると、今まで自分で閉鎖し忘れた振りをしていた筈の回路が繋がりそうな感じ、もう知っている道に出たのにまだ迷子の振りをしている感じ、すごくすごく苦手な感情に真っ向から手を招かれそうになって、溜め息。箸の先を前歯で軽く噛みながら、再び彼をちらりと見遣ると先程までの笑みの余韻も無い顔で漸くプルタブを引く。彼も何か考えていたのだろうか。自分はもう考えないほうがいいな。小食な上に食べるのが遅い自分はハンバーグを半分ちょっと食べたところで。たまねぎに鰹節とポン酢をかけて、それを器用にばらして口に運ぶ。空いている左手で落ちてきた前髪を耳に掛け直せば否が応にも指先に触れ軽く音を立てるピアス、若い頃に開けてから未だに顔面にちゃらちゃらと付いているお陰でまともな職に就けないピアス、尤も就く気なんて無かったけれども、それからずっと一般人と同じようなスタイルから外れてきて今も頼りない柔らかさと色の髪の毛、あと指の刺青。きっと全部、自分を守る、というか閉じ篭る為のものだったんだなあ、なんて、この歳になってぼんやりと思う。彼とだらしのない関係を続けているのも、自分の気持ちをセーブするため、かもしれない。さっき考えないって思ったばかりなのに。いつも通りに戻ろう、と、ピアスのことを考えた所為か彼の耳元に目が行って、「マドさんは耳以外開けないんですか? って、いい歳してピアスかよって」と気安く笑って)
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先も長いですから、このまま発展させてくださってよろしいですよ。そちらが今のままの雰囲気が気に入っているなら別の日に改めて亮祐くんを酔っ払わせてくださいな。任せてしまってすみませんが此方はこんな素敵なお相手さんがいるだけで幸せですので、そちらのより楽しめるほうで進めたいと思っております。
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