xxx 2014-12-29 00:12:16 |
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>桐崎
(既に涙の乾いた目で兄達を見返しては相当相手に会わせたくない様子にまあ当然かと「じゃあいいや」と軽く述べ自分のアパートへと足を進める。
感情や態度が点々とする自分に兄は戸惑うも目を離すわけにはいかないため青年と若頭に相手を頼むと自分の後を追って。
(アパートにて追ってきた兄を拒むでもなく中に招き入れ御茶を入れるもそれ以上は構わずに携帯で旅行の写真を見返しては機内で撮った相手の写真を見つけスライドする手を止める。
愛おしい感情が芽生えるのは一瞬のこと。
すぐに黒い感情が湧き上がっては「…この時は可愛かったにな」と冷たく笑み画面の中の相手を指で弾いて。
それを見ていた兄は困惑気味に眉を寄せては隣に近づいてきて携帯のストラップに振れて。
『これ、まだつけてるんだね』
「…ああ…、なんとなくだよ。気に入らないなら外すけど」
『いや、そのままでいいよ。……………ねぇ、菊。誰かに何か言われたりされたりしなかった?』
「………?」
(兄の真剣な眼差しに旅行中の事を思い出すも記憶全体に靄が掛かったように何もかもがあやふやで考えれば考えるほど相手への恨みの情が深くなり「別に、彼奴に裏切られたくらい」と冷たく吐き捨てるよう述べては立ち上がって。
『ちょっと、何処行くの?』
「バイト。…さっき店長から連絡あったから」
『ダメだよ。いろいろあったし今はゆっくり休みな』
「店長に逆らうと面倒だから。………心配してくれてありがとな。それより、綸あんたは弟の通夜に出ないと」
(扉に手をかけ恐ろしいほど感情のない穏やかな微笑みを浮かべてはバイトに出かけて。
(其の頃病院の屋上、相手よりも先客がおり少し傷んだ藍色の髪を持つ男は疲れたスーツを着ていて芳しくない表情で下界の景色を眺めていて。
そして背後から相手の足音を聞いては振り返り、その姿を見た瞬間小さく目を見開き『……繿君?』と風の音でかき消されそうなほど小さな声で呟き。
しかし男は何も知らぬ振りをして相手に微笑を向けては『こんにちは』と挨拶し、相手が手に持つ煙草に目を向けては『……未成年なのに身体に良くないよ。お父さんの影響かな』と相手の年齢を知らない筈なのに優しく諭すよう喫煙を注意して。
『…君は何で此処に?どこか具合が悪いのかな?』
(気の弱い、それでも至極優しい微笑を浮かべ問うも『ああ御免。“初対面”なのに失礼だったね』と苦笑を浮かべ後頭部をかいて。
『僕はね。この病院に“心臓病”に良く効く薬があるって聞いて来たんだ。あ、心臓病なのは僕じゃなく娘なんだけど。……今更こんなことしても息子は許してくれないだろうけど…』
(唐突に自分のことを喋ってしまっては男はハッとなって『御免、廃れたおじさんの話聞かされても困るよな』とまた苦笑しては、ジーッと相手の紅い瞳を見詰め。
“こんなに立派に育って…”と穏やかに微笑みフードの上から相手の頭を撫で『本当にきれいな瞳をしてる。“あの時”と変わらない』と無意識のうち呟いて。
『じゃあ邪魔なおじさんはこの辺で失礼するよ。……煙草のことは黙っておいてあげるね』
(小さく微笑み相手に背を向けてはその場を立ち去るもその時、幼少期自分が上げたハンカチを落としたままということに気付かずに。
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